ザブーン。
(10)「ふー……天国です天国です……生き返った……」
冬の浴室の床の冷たさマジ半端なかったので、さすがにダグラスも“命の湯”に 浸かった。
(9)「もう少しで本当に行けそうだったじゃないですか」
(10)「あんた本当に床より冷たいですね!!なんか恨みでもあるんですか!?私知らない間に何かしましたか!?」
(9)「何かと特定できないぐらいされまくってますけど、私はあの時、あんたを天国行きから救ってよかったと思いますよ」
(10)「ドナル……うぅ……」(感涙)
(9)「こうしてイジって遊べますから」
(10)「やっぱ今の取り消し!!」(怒)
兄はどこまでも冷たいということに気づき、期待させられたダグラスは余計にキレた。
しかしすぐに元に戻った。
(10)「しかしあれですな、やっぱりちょっと楽しかったですな」
(11)「だろ?意外と難しいよね!」
(9)「そんなに言うんなら私もやりましょうかね」
(10)(さっきのお返しだ押してやる……)(ニヤリ)
(T)(手伝いますよ……)(ニヤニヤ)
(11)「じゃあみんな乗り気だね!そう来なくっちゃ!よしやるぞ!第一回小西部サーキット・共同浴場杯開幕――――――」
(8)「こらーーーーーーーー!!!!」
バァーン!!
吹っ飛ばんばかりの勢いでドアが開いて、既に湯気が出ているダックが飛び込んできた。もちろん自分専用のシャンプーとボディーソープ、あとムダ毛処理用のカミソリとクリームも携行で。
(8)「夜中に騒がしいから何かと思ったら、そんなくだらないことに年甲斐もなく!!君らは本当大西部鉄道流ってのがなってないっ!!」
(10)「だって半分ぐらい部外車ですし」
(11)「逃げたときには再編&改名されてたよ」
だいたい想定内だったし慣れてるので、冷静に答える該当車たち。ダックは怒り治まらずなおも文句を言い続けた。
(8)「こういうのはだな、まず水をかけて摩擦を極限まで減らして」(バシャバシャ)
(9)「……ねぇ、正直すっごくやりたかったでしょ?」
普通に洗面器でお湯を掛けだしたダックに、ドナルドが静かに言った。
(8)「………………はい」
ダックも手を止め、きまり悪そうに静かに答えた。
(9&10&11)「「「ウェーイwwww」」」(XD)
ついに本音を漏らした彼に、皆はしてやったりと一気に相好を崩す。
(10)「やっぱりやりたかったんですねwあなたも結局ダメダメ流の仲間だ」
(11)「カーモンベイビーアヒルちゃん♡」
(T)「素直じゃないんだからもう♡」
(8)「うるさいなぁ!優等生ってのはこういう生物なんだよ!」(照)
本当はバカ騒ぎしたいのがバレてしまって、苦笑いするしかないダック。
何はともあれ委員長のお墨付きももらったので、5名は心おきなく『小西部サーキット』を楽しむことにした。
そして……。
バビューン!!
(8)「うぎゃぁぁ」
(T)「ダックさーん!!」
(8)「負けたぜ……ゴール出来るまで、止まるんじゃねぇぞ……」(ガクッ)
(T)「立てぇ!立つんだダックー!!」(叫)
(9)「カーブがあるからだめになるんですよ。左手と連結器は添えるだけ」
(11)「そだねー」
(10)「ダグラス、いっきまーす」
ズシャァァァ!!
(10)「ウワーッ!ちくしょうめぇぇ!」
(9)「ダグラース!!」
(10)「駆逐してやる!この石から!摩擦係数を1N残らず!!」(悔)
(T)「オリバーさん!小西部サーキット、ゴールできません!!」
(11)「うわぁぁぁん!この流れを!!この流れを変えたぃぃぃ!!」
(9)「2分の1までじゃダメなんですか?」
(10)「もう……ゴールして……いいよね……」
(8)「諦めんなよ!」
こうして小西部鉄道寮の、風呂場の夜は更けていったのだった……。
***
~翌日~
(2)「全員なんか歩き方おかしいけどどうしたの?」
(9&10&11)「「「……」」」
(T)「何でもないです……いてて……」
おわり。